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short story
第3章 これが私の生きる道/tamami
―――あたしの親は不良だった。
父親に至っては不良というよりチンピラ。
父親はろくに働きもせずギャンブルばかりやっていた。
だから母親が水商売をしながらあたしたち兄弟を育ててくれた。


あたしには兄が二人と姉が二人いる。
兄たちはバリバリのヤンキーだ。
もちろん姉たちもヤンキーだ。


我が家は親がいつも居なかったから兄や姉の友達がいつも入り浸ってた。
もちろん全員ヤンキーだ。


ヤンキーに囲まれあたしは育った。
目つきが鋭いのと家庭環境から周りのお母様からはかなり嫌煙されていた。
「タツアキちゃんとは遊んだらダメよ」なんて聞こえよがしに言われ・・・我ながら可哀想な子ども時代。


あ、タツアキってのはあたしの本名。
「辰照」って書くんだけど・・・一体どこのオヤジよねぇ。


小さい頃からブルドッグの絵のトレーナーや黒のジャージばっか着せられ頭は坊主。
でも本当はピンクやキラキラが大好きだった。
パッチワークや編み物に興味があった。


でも由緒正しいヤンキー一家で、しかも男のあたしがそんなものに興味あるなんて決して言えなかった。


将来はピンクのドレスが似合うアイドルになりたいとか、当時大人気だった美少年グループのたーくんが好きだなんて口が裂けても言えなかった。


だからコッソリたーくんのシールを机の奥に隠していた。
寝る前に隠れてシールを眺めるのが当時のあたしの唯一の癒しだったの。




中学に上がると制服は兄の短ランとボンタンがお下がりで用意されていた。
それしかないからそれを着るしかなかった。


すごく悲しかった。
お下がりが悲しいんじゃなくてヤンキー道に足を突っ込むのが悲しかった。


あたしはヤンキーテイストが正直好きじゃない。
第一に可愛くないから・・・
だって夢がないじゃない?


黒とか赤とか紫とか・・・
パステルなんて一色もないしキラキラは百歩譲ったって特攻服の刺繍だけよ?


そんなのはあたしが求めるキラキラじゃなかった。



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