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short story
第9章 天の川 /yuriko
「こんにちはー」


「いらっしゃいみなみちゃん」


「こんにちはー」


「いっちゃんもいらっしゃーい」



----こんな風に皆さんにお話させていただくのは初めてでしょうか?
遥斗の母の山下由里子と申します。
年齢は・・・秘密にさせてくださいね。


今来た二人は息子の嫁と孫。
お嫁さんはみなみちゃんと言ってうちの息子には勿体ないくらい素直ないい子です。


・・・と言いますのもうちの息子、学生時代女の子が大好きでして・・・
特に派手な女の子が好みなようで、そんな女の子が代わる代わる家に来ておりまして・・・
だから私は密かに息子の将来を危惧しておりました。


遥斗の連れてくる子は「マジウケるんですけどー」とか言うようなお嬢さんなんだろうって。
私、そんなお嫁さんと仲良くできるのかしらって。


それが「結婚したい」と連れて来た子がみなみちゃんで、どんなに安心したか分かりません。
人間って落ち着く時には落ち着くものですね。


そのお陰で今、私にとって掛け替えのない孫がいます。
若干フライングだったようですが、孫は私の生き甲斐であり、我が家の新しい絆を作ってくれた大切な存在なんです。


「ばあば、何してるの?」


「ん?もうすぐ七夕でしょ?だからいっちゃんと笹飾り作ろうと思って大ばあばのお家で貰って来たの」


リビングに飾った笹の葉に折り紙、短冊。
いちかが生まれて季節の行事を再開した。


こうやってあゆ美も遥斗も育てて・・・
また孫とイベントを楽しめることが幸せです。


「お義母さんやっぱり器用ですね。さすが元幼稚園の先生」


「やーね、もう大昔の事なのよ」


結婚する前、私は幼稚園教諭をしていた。
その経験からみなみちゃんが仕事の週四日、私がいちかを預かっている。


いちかと過ごす毎日は私にとっても発見と感動の連続です。



「おりひめとひこぼし・・・だよね?」


「そうそう、会えるといいわよね」


「雨が降ったら会えないんでしょ?」


「そうね、雨が降ったら・・・」


「可哀想だからいちか照る照る坊主作ろうかな」



毎年、七夕の日は殆どが雨なのだけど・・・
純粋ないちかの優しさに胸を熱くしながらその日が晴れればいいのにと思いました。









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