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short story
第9章 天の川 /yuriko


「す、素敵すぎますね・・・本当に織姫と彦星みたい」


みなみちゃんは他愛ない昔話に涙を拭う。



「お父さんは無口で私もこんなでしょ?なのにあゆ美は気が強いし遥斗はチャラチャラしてるしお父さんは単身赴任になるし・・・特に思春期の子育ては大変だったわ・・・」


「あゆ美さんの気が強いのは置いといても遥斗は私と出会った時は素敵でしたよ」


今度は私の言葉に拗ねたように・・・みなみちゃんの表情は忙しい。


「・・・ねぇ、遥斗とみなみちゃんはどうやって知り合ったの?」


「私ですか!?私たちだってお義母さんたちに負けないくらい素敵ですよ」


頬を染めるみなみちゃんを見て、息子をこんな風に愛してくれる人がいることを嬉しく思った。
遥斗は女の子に対して軽薄というか、軽んじているところがあるというか・・・それに正直見る目がないと感じていたからずっと将来が心配だった。


でも思った以上に早く「運命の人」を見つけられたのね・・・




棚の上の写真はいちかの写真を飾る為、あゆ美が遥斗を隅の方に退かしてしまった。
すっかり目立たなくなった小学生の遥斗に「良かったわね」と心の中で声を掛けた。



「ねぇばあば!お願い書こうよ」


ピンクの短冊を握りしめていちかが騒ぐ。


「そうね、じゃあいっちゃんの短冊はばあばが書いてあげる」


「いちかはね、ピュアピンクになりたいって書いて」


「分かった」


いちかの短冊は一番目立つ場所に。


「みなみちゃんは何て書いたの?」


「私は“家内安全”です」


「若いのに・・・」


それには思わず苦笑い。


「お義母さんは?」


「私?私はね・・・」



いちかとみなみちゃんに短冊を見せる。



「彦星様に会えますようにと・・・早くいちかに兄弟が出来ますようにって!」



そう、それが今の私の願い。
だってやっぱり私は子どもが好きなんです。



「いちか、パパとママに早く弟か妹作ってってお願いしなさい」


「つくるの?パパとママが赤ちゃんつくるの?いちかもお手伝いできる?」



「お、お義母さん!」



ちょっと悪戯が行き過ぎたかしらと反省したふりをしながら、内心期待している私だった。



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