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ピンクの扉
第11章 東京

「やはり奥さまとは連絡が取れませんか?」

「ああ…着信拒否されたままだ…」

智一はスマホの電源を落として
安全ベルトを装着した。

智一と智一の部屋にいた女は
勘違いしてしまった桃子に釈明するために
東京へ戻ろうと飛行機に乗り込んでいた。


女は須藤亜里砂という名で、
智一の部下であった。

「すいません…
わたしが休日に料理を作らせて下さいと
お節介を焼いたばかりに…」

「いや、あの時に私がタバコを買いに
外出さえしていなければ…」

運が悪いというか、
彼女にしてみれば日頃お世話になっている上司が
単身赴任だったので
手料理をご馳走してあげたいと思ったのと、
タバコを切らしてしまい買ってくるからと
彼女を一人っきりにして部屋を抜け出してしまった

そんな時に桃子がサプライズで訪問してしまったのだ。

「まったく…あのバカが早合点しやがって…
来るなら来るで連絡を寄越せばいいものを…」

二人は桃子がトンボ帰りしたものと思い込み、
釈明のために東京の自宅へ戻ろうとしていた。
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