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ピンクの扉
第12章 何も知らずに妻は暴走中

桃子はスマホの画面をしばし眺めたあと
電源を落とした。

毎日のように夫とメールのやり取りをしていたが、
夫からの連絡を絶って着信拒否にしてからは
広告メールばかりになってしまったからです。


「ご主人と連絡しなくていいんですか?」

レンタカーのハンドルを握りながら男は、
心配そうにそう尋ねてきました。

昨夜、ベッドのピロートークで
事の成り行きを話したので
彼なりに心配してくれているのでしょう。


「いいんです…私たち、もう終わりですから…
それよりもごめんなさいね。
私が旅行に同行したいとお願いしたばかりに
こうやってレンタカーまで借りる羽目になって」

彼は気ままなひとり旅をするつもりだったようで
バスや電車移動をすると言っていたのに
私が同伴をお願いした事で
急遽レンタカーを借りてくれました。


「いえ、この方が移動が楽ですし、
時間の余裕もできるし…
何よりも旅をしている間は
毎晩あなたと愛し合えると思うと安い出費ですよ」

彼は桃子が離婚するならば
彼女を家庭に招き入れようと考えていた。

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