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第8章 葛藤

｢あんずー！きゃはははは｣


どうしてもあたしの名前をあんずにしたいらしい悠翔がにこにこと笑いながらあたしを見上げる。


…可愛すぎる。


もし妊娠してて産んで、悠翔くらいまで育ったら、こんな可愛い姿毎日見れるのかな…


しみじみと考えつつお兄ちゃんと悠翔を部屋の中に入れる。


｢相変わらず綺麗にしてんな杏奈～｣


｢お兄ちゃんが散らかしてるだけで
あたしは至って普通にしてます～｣


｢いやマジで凄ぇ綺麗に…、…ん？んん～…？
ねぇ杏奈ちゃーん、さっきまで彼氏でも来てた？｣


｢…えっ！？何で！？｣


｢ベッドびしょびしょ～。
何、激しいセックスして彼氏送ったあとだったの？
なかなかやるじゃん杏奈も。さすが俺の妹｣


｢…違うから｣


全然、違う…


｢ね、どうなの杏奈。お兄ちゃんに話してみ～｣


｢～うっさいなぁもう！ほっといて！｣


思いきり叫んでベッドシーツを剥がし、大きな足音をたてて洗面所へ行き、洗濯機の中に突っ込む。


｢何ピリピリしてんの杏奈。生理か～？｣


向こうからお兄ちゃんの声が聞こえてくる。


…ピキッ。


今のあたしにその話しないでよ…


相変わらずあたしの怒りを引き出すのがうまいお兄ちゃんに向かって


｢お兄ちゃんのバカ！変態っ｣


と叫ぶ。