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want to be ...
第4章 転機






中年の男はもう抵抗しなくなってて、話が終わった後駅員に連れて行かれた。


ふう、とため息をつき、あたしを振り返る彼。


優しく握られていた手が離れ、まだ繋いでいたかった、とふと思った。


「怖かったな…大丈夫か?
俺の声でも更にびびったろ、ごめんな」


優しい、彼の声。


俯いてゆっくりと首を振った。


「…たまたま、近くにいて。
なんか後ろでごそごそしてんなと思ったんだよ。
怖かったな、びっくりしたよな…」


あまりにも優しい声と言葉に、じわりと溢れる涙で視界が歪んだ。


「俺こんなことしたの初めてで…
被害者のあんたも連れてって立証しないとあの男
ちゃんとした罪にならねぇかもしれねーなって思って。
だけど尚更怖い思いしたよな、ごめんな…」


いろんな思いが混ざり、あたしの目から再び涙が溢れた。


「ふっ…ぅ、うぅう…っ」


その場にしゃがみこんで泣くと同じくしゃがみこみ頭を撫でてくれる彼。


「うんうん、辛かった辛かった。もう大丈夫」


優しい…


何て、優しいの…


その優しさが嬉しくて更に涙が溢れ、あたしの頬を次々と涙が流れる。


「あっ…ありっ…ありがと…ございます…っ」


「いーえ。ほんとよかった」


しばらくすると気分が落ち着いてきて顔を上げた。


「あ…」


やっぱり…蒼汰さんだ。


それにこの角度、あの時と同じ…


あたしを見た蒼汰さんの目が見開かれる。


勢いよくあたしの腕を引き上げ向かい合わせになり、まじまじと見つめられた。


え…!?


嘘っ…待って、近すぎる!


かっこよすぎて直視出来ない…


唇を噛んで目を逸らすと


「やっぱり」


と彼が呟く。


見上げると、苦笑いであたしを見てた。


「あのさ…いつも同じ車両にいる子だよな。
…あと、違ってたら申し訳ないんだけど、あんた…」


え…まさか、蒼汰さん…


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