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第25章 Request Story♡ 2人の1日　Ⅲ

｢香坂杏奈さん。…っ、俺と、結婚してください｣


手のひらサイズの小さな箱。


ぱちぱちと瞬きして、蒼汰さんを見つめる。


…へ？


結…婚？


左手をとられ、薬指にぴったりはめられた、綺麗な宝石がついた指輪。


涙が…溢れた。


｢…っ、これ…っ｣


｢愛してます。一生かけて、愛します。
これからも、俺と共に生きてください｣


｢…っ｣


あぁ…あぁ、もうダメだ。


あたしの中で、何かがぷつんと切れた。


｢はい…｣


蒼汰さんを見つめたまま、嗚咽を洩らして泣く。


頬を次々と流れるあたたかい涙。


あ、鼻水まで…


…ねぇ、天国にいるママ、パパ。


あたし、大切な人から永遠の愛を誓われたよ。


これから一緒に生きてくれる人が見つかったよ。


こんなあたしを好きだって言ってくれる人が、長い間ずっと一途に思い続けた人が、あたしの事を好きになってくれたよ。


あたし、幸せになってもいい？


もう十分すぎるくらい幸せだけど、これからもこの愛しい人と、幸せになる為に歩み続けてもいい？


2人共、祝福してくれる？


天国で見守ってくれる…？


｢…泣きすぎ、杏奈…｣


泣きすぎてぐちゃぐちゃで、きっとものすごくぶさいくな顔してると思うのに、優しく笑って涙を拭ってくれる蒼汰さん。