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want to be ...
第29章 素直な気持ち 雫SIDE






…柾の事は大好きだけど、その子に立ち向かえるほどの力なんて何も持ってなかった。


…だって。


親にお金借りて大学行かせて貰うような高校生に、何が出来るっていうの?


それに、


「あなたがあたしを捨ててあの子のところに行くなら、
あなたの会社粉々にぶっ潰してやるわよ」


柾の家の会社の事を出されたら…もうあたしには、柾から離れる事しか出来なくて。


「今の俺が雫に出来る事は、雫から離れる事。
雫のこれからの幸せを一番に願う事。
俺から離れれば、お前は幸せになれるんだよ、雫」


そんな、泣きそうな顔で。


ごめんなんて言わないで。


今までありがとうなんて言わないで。


ホワイトデーを少し前に終えて、卒業式に向けて準備が進んでる、この寒い日に。


どうしてそんな事言うの…?


フラフラと歩いて、見上げた先に映ったカラオケに入った。


一緒に行ったじゃん、このアーティストのライブ。


最初は権力でチケットもぎ取ってきやがったから、あたしが怒って喧嘩になったよね。


行く時も、プライベートジェットなんて使ってさ?


どこで頼んだのか、メンバー全員のサイン色紙くれちゃったり、本人達に会わせてくれたり。


もちろんその後大喧嘩したけど。


…バチが当たったんだ。


当たり前だなんて一度も思わなかったけど、嬉しくって調子に乗っちゃった時があったから。


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