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第29章 素直な気持ち 雫SIDE

｢好きな男いんのに俺と付き合うなよ｣


って、ヤリマン扱いされた時もあった。


…よく知りもしないで告白なんかするからじゃんねぇ？


人の事言えないけど。


別れて付き合う、を何度も繰り返したけど、やっぱり好きになれる人はいなかった。


そんなある日。


突然瑞季があたしを訪ねてきて、そのままおかしくなるくらい抱かれた。


その日からあたし達の体の関係は再開して。


｢絶対にバレてはいけない｣


徹底的に予防線を張り、あたし達は会い続けた。


｢雫が大学卒業したら結婚しよう｣


そう言われて指輪も貰った。


…なのに。


突然発覚した、保健医の西野先生との熱愛。


その事に触れるといつも怒られた。


｢お前に関係ない｣


って。


怒られた後のセックスは痛くて、辛くて。


それでもあたしは瑞季が大好きだった。


離れたくなかった。


でも、こんな辛い思いをするなら、いっそ離れようと思った。


そして。


杏奈と飲みに行って、もう一度抱かれて別れる決心をした、あの日。


瑞季の車に乗せられて行ったのは、ラブホでも瑞季の家でもあたしの家でもなかった。