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煮詰めたシチュー
第10章 雑記 哀しい病
   
そのうち自分のうつ症状に気付きました。
特に驚きはなく、『これがそういうことなのか』と妙に納得してしまい、それならそれでよかろうと、医者にかかることはしませんでした。

当時の心境としては、知っている道を歩いていたのに知らない街に着いてしまったという感じで、おかしいなと思いながらも、そのうち知っているところに出るだろう、ぐらいの受け止め方でした。

妻も私の変調に気付いたようで、『いってらっしゃい』と送り出されていたのが、この頃から『今日も帰っておいでよ』と、応対が変化し始めました。



   
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