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煮詰めたシチュー
第10章 雑記 哀しい病
そこには犬の亡骸を見つめる、飼い主らしき小学生ぐらいの男の子が立っていました。
白地にオレンジ色の切り替え袖のTシャツを着ていて、その鮮やかなオレンジ色が目に焼きつきました。今も鮮明に思い出せます。
あまりにも突然のことで、男の子は犬が死んだことをまだ理解できていなかったのかもしれません。
目の前の出来事に泣くこともせず、ただただ歩道に立ちつくしていました。
立ちつくす――――。
立ちつくすというのは、まさにあの時の、あの男の子のことをいうのだと思います。