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叶わないならせめて、手に入らないならいっそ
第5章 たとえば、その夢が叶ったとして
若葉の家のチャイムを鳴らす。
反応はない。

俺は軽く溜め息を吐き、鍵を使ってドアを開けた。

リビングのテーブルに差し入れの栄養ドリンクを置いていると、奥から部屋着姿の若葉が出てきた。

「な、なんで、しゅーちゃんがいるの?」

俺の姿を見て、若葉は固まっている。

「おまえの母親が様子見に行って欲しいって鍵置いてった」

いわゆる幼なじみの特権というやつだ。

俺の説明に、若葉はぎゅっと眉を歪めた。
そんなに俺に会うのが嫌かよ。

近づいていくと、若葉がびく、と体をひきつらせる。
俺も本当に嫌われたもんだ。
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