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叶わないならせめて、手に入らないならいっそ
第6章 傘ふたつ
雨はしとしとと体にまとわりつく。
空は薄暗く、町は水の底に沈んだみたいだった。

俺は土手に立って川を眺めていた。

マンションには帰りたくなかった。
部屋にはしゅーちゃんの気配が染み付いていて、今の俺がそこで過ごすのは拷問と同じだ。
かといって他に行くところもなく、家の近くでこうやって意味もなく立ち尽くしている。

上流でも雨が降っているのか、川は水かさが増して、濁流がごうごうと渦を巻いていた。

小さい頃は、よく川原でしゅーちゃんと遊んだな。
今は、俺一人だけど。

また泣きそうになる。
視界が滲んでいるのは雨のせいなのか、涙のせいなのか。
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