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叶わないならせめて、手に入らないならいっそ
第6章 傘ふたつ
「町で柊を見かけて、絶対この人だって思った。次会ったら告白しようって決めて、何日も同じところで待ち伏せしたの」

苺香は肩をすくめて「すごいっしょ?」と自嘲気味に笑う。
俺も頷いた。
そこまでの熱量を持って、彼女もしゅーちゃんのことが好きだったんだな、と思う。

「そしたら、柊ってば、マイカのことジロジロ見て、『体だけの関係ならいいよ』って言ったの! ありえないよね! 相手は、このマイカだっていうのに!」

苺香はコーラの入ったカップの底を、ガコガコと机に叩き付けた。
蓋のおかげでかろうじて中身は零れない。
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