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叶わないならせめて、手に入らないならいっそ
第6章 傘ふたつ
苺香はケータイを取り出した。
「友達になろ、若葉。アドレス教えて」
「え……?」
苺香も俺も、しゅーちゃんのことが好きな、言わばライバル同士だ。
仲良くなるのは彼女も複雑なんじゃないだろうか。
「い、いいの?」
「だって、マイカとあんたって戦友じゃん? 同じ柊に泣かされたもの同士っていうか」
戦友、という言葉に、ようやく腑に落ちた気がした。
そうだ、今の俺の心境は、彼女と同盟でも組んだ気持ちに似ている。