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叶わないならせめて、手に入らないならいっそ
第8章 泡のようにはじけて
突然、腕を捕まれた。

しゅーちゃんだった。
チタンフレームの眼鏡の向こう、濡れたような黒い瞳が、ぞっとするような鋭さで俺を見ている。

――どうしてここに。

そう思った時には路地裏に引きずりこまれていた。

「あの女と何やってる!?」

壁に押し付けられると同時に、しゅーちゃんの怒鳴り声が聞こえる。

俺はその迫力に圧倒されて何も言えなかった。
壁に当たっている肩が痛い。

「……苺香のこと?」

呼び捨てで彼女の名前を言うと、しゅーちゃんの眉が余計険しくなった。
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