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叶わないならせめて、手に入らないならいっそ
第8章 泡のようにはじけて
その時、スマホが鳴った。
母親からだった。

『寝てる? 柊君が帰ってきてないみたいなんだけど、若葉と一緒?』

Lineに表示された文字列に、俺の顔色が変わる。

苺香が心配そうにこっちを見てきた。

「どしたの?」

「しゅーちゃんが帰ってきてないらしい」

時刻は午前1時過ぎ。
高校生が出歩く時間ではない。

「どっか遊びに行ってるとかじゃなくて?」

「それはないと思う」

しゅーちゃんはきちんと家に連絡を入れるタイプだ。
何も言わずにいなくなるなんて、何かあったんだ。

そう、例えば、俺に殴られたから、とか――。
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