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叶わないならせめて、手に入らないならいっそ
第3章 妄想が現実を塗り潰していくまで
「柊……」
絡み付いてくる女の腕を振り払う。
早くシャワーを浴びたい。
女を抱けば、諦められるかと思った。
でも逆だった。
若葉の幻は更に鮮明さを増して俺を苦しめる。
コップの淵にまで溢れかえった水のように、表面張力でギリギリに保たれた一線。
あと一滴でも増えるようなことがあれば、たちまち溢れてこぼれだす。
一度崩れたら、もう戻ることはできない。
俺はいつまで踏み止まっていられるだろう。