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叶わないならせめて、手に入らないならいっそ
第3章 妄想が現実を塗り潰していくまで
愉快ついでに、若葉に好きな奴はいないのか聞いてみることにした。

妙な高揚感。
同時に、首筋がちりちりするほど緊張していた。

答えない若葉に、俺は安堵の溜め息を吐く。
好きな相手なんているわけない。
だって俺がずっと側で見張ってきたんだから。

けれど。

――好きな人、いるよ。

若葉がそう言った瞬間、地面が揺れた。

ぐらり。
水を溜め込んだコップが、中身をばらまきながら傾いていく。

いつ。
どこで。

なんでだよ。
おまえ、俺のもんなのに。
どうして他に好きな奴なんて作りやがる。
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