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好きなもの
第1章 好きなもの
お茶


主人から一生求めらることが出来た。


それはお茶を入れること。




結婚して8年。
必要とされてる実感がなかった。


主人は私に求めない。経済力もあって家事をする。


私に望むのは、そばにいることだけ


必要なのは、労働力ではなく、私の存在。


もっと我儘に求めてくれないと

主人にとって、私が要るメリットが、見えないと

自分の存在する理由が無い。



ふと気がついた。温かい急須の茶葉が、昨日のまま。


茶葉を代えて、お湯を注ごうとすると
主人から、ありがとうの声。


ふとした疑問。
茶葉変えないんですか?


主人が「変えない」


何でも出来る人なのに、茶葉は代えないなんて可笑しくて、

一生お茶を入れることにした。


お茶なら仕事が忙しくても、体調が悪くも、一生続けられる。


初めての約束。



次の日、主人が急須を買ってきた。私の好きな桜模様。


お湯を注ごうとすると、主人から、ありがとうの声。


いつもの事だから、私も、ありがとうで返す。



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