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藤の舞
第15章 誘惑
チュッ…チュッ…

「酒を飲みすぎたから、イキにくいだけだよ。
普段ならすぐさ。」

チュッ…チュッ…

「奥さんとは、ってこと?」

「ああ、結婚してから妻だけだからね。
君とが初めてだ、こういうこと…」

「うふふっ…初めてって、なんか嬉しいわ。
でも奥さんが羨ましい。」

「だから、妻とは淡白だよ。最初はどこまでしていいのか遠慮してたけど、
それが普通になったら、色々できなくて…

妻が最近子供を欲しがってね。
その、騎乗位でしてくるんだが、全然燃えなくてね。

ああ必要とされてるのは、俺でなくて、子種だけなんだって、
だから妻に任せてさっさと放つよ。

疲れてるって言ってもお構い無しだからさ。

もう愛してるとかわからないよ。」

アタシは男の顔を引き寄せて深い深い口づけをする。
名残惜しそうに離れた男に留目を差す。

「じゃあ、今だけでいいから、アタシを愛して、
貴方の好きにして、
貴方の全てが欲しい。」


男がゆっくりとアタシに視線を合わせ、

「じゃあ俺も、君の全てをもらうよ。」

言い放ち、強い視線でアタシを捕らえた。


労う触れ合いから求めるものへと変化する。

チュッ…クチュ…クチュリ…

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