この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
泡のように
第19章 18.

「リュウとトラって覚えてる?」
店内は流行りの音楽が流れている。
ありきたりなファミレス。
この店を選んだのは、お母さんのお見舞いのあとたまたま廊下でバッタリ再会して。
このあいだのことなんか何もなかったって顔で。
フツーに、いつも通り挙動不審な動作で話をして。
都合よく先生のアパートまで送ってもらうことになって。
その途中、お腹すいたねってなって。
んで。
単純に内環沿いで駐車場が広く、お兄ちゃんの下手くそな運転でも入りやすい店。
だったかったからだ。
木戸から聞いた話をお兄ちゃんに振ったのは、目の前にハンバーグ定食が運ばれてきた時だった。
「リ、リュウと・・・って、き、木戸虎太朗と高木龍哉のこと?」
お兄ちゃんの前にも同じものが配膳される。
「いまさぁ、同じクラスなんだ。トラのほうと」
愛想の良いギャルメイクの若い女性店員が去ったあと、お兄ちゃんは「そうか」とため息と共につぶやいた。
「あ、あいつら、智恵子と同学年か・・・・げ、元気に、してる?」
「無駄に元気だよ。ていうか木戸から聞いてびっくりしちゃった。お兄ちゃんのクラスだったらしいね。この前お兄ちゃんが学校に来てたのを見かけたって」
「本当に?なら、こ、声くらい掛けてくれたらよかったのに」
「無理でしょ。私さ、秋芳先生と噂になってるから。そこに八田先生もいて、とかいくらバカで空気読めない木戸でも声掛けられるワケないじゃん」
鉄板の上でジュージュー音を立てているハンバーグにナイフを突き刺す。中から透明の肉汁が溢れ出し、鉄板の上で跳ねて白いセーラー服に無数の染みが出来た。
「あちち」
「は、跳ねるから気をつけろって、さっき店員さんが」
見ればお兄ちゃんはちゃんとクロスで胸元をガードしている。汚れたって大差なさそうなボロい服なのに。
「そう言えば木戸がさぁ、お兄ちゃんの元カノのこと、超可愛かったって言ってたよ。顔射戸惑うレベルだってさ」
一口大に切り分け、フォークで口に運ぶ。
同タイミングで私のより大きい欠片を頬張ったお兄ちゃんは、派手に咳き込んだ。
店内は流行りの音楽が流れている。
ありきたりなファミレス。
この店を選んだのは、お母さんのお見舞いのあとたまたま廊下でバッタリ再会して。
このあいだのことなんか何もなかったって顔で。
フツーに、いつも通り挙動不審な動作で話をして。
都合よく先生のアパートまで送ってもらうことになって。
その途中、お腹すいたねってなって。
んで。
単純に内環沿いで駐車場が広く、お兄ちゃんの下手くそな運転でも入りやすい店。
だったかったからだ。
木戸から聞いた話をお兄ちゃんに振ったのは、目の前にハンバーグ定食が運ばれてきた時だった。
「リ、リュウと・・・って、き、木戸虎太朗と高木龍哉のこと?」
お兄ちゃんの前にも同じものが配膳される。
「いまさぁ、同じクラスなんだ。トラのほうと」
愛想の良いギャルメイクの若い女性店員が去ったあと、お兄ちゃんは「そうか」とため息と共につぶやいた。
「あ、あいつら、智恵子と同学年か・・・・げ、元気に、してる?」
「無駄に元気だよ。ていうか木戸から聞いてびっくりしちゃった。お兄ちゃんのクラスだったらしいね。この前お兄ちゃんが学校に来てたのを見かけたって」
「本当に?なら、こ、声くらい掛けてくれたらよかったのに」
「無理でしょ。私さ、秋芳先生と噂になってるから。そこに八田先生もいて、とかいくらバカで空気読めない木戸でも声掛けられるワケないじゃん」
鉄板の上でジュージュー音を立てているハンバーグにナイフを突き刺す。中から透明の肉汁が溢れ出し、鉄板の上で跳ねて白いセーラー服に無数の染みが出来た。
「あちち」
「は、跳ねるから気をつけろって、さっき店員さんが」
見ればお兄ちゃんはちゃんとクロスで胸元をガードしている。汚れたって大差なさそうなボロい服なのに。
「そう言えば木戸がさぁ、お兄ちゃんの元カノのこと、超可愛かったって言ってたよ。顔射戸惑うレベルだってさ」
一口大に切り分け、フォークで口に運ぶ。
同タイミングで私のより大きい欠片を頬張ったお兄ちゃんは、派手に咳き込んだ。

