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泡のように
第5章 4.
 昔はもっと色々話せたと思う。
 自然にキョウダイ出来てたと思うんだけど、いつからか、ほら。私たちが並んで歩いてもアメフトの楕円型ボール二個分くらいの間隔があって。

「ねぇ」

 互いの帰る玄関ドアの前で間隔突破してお兄ちゃんの手を握って、

「ちょっと、寄らせてくれない?」

 ってお願いしたって、

「い、いや、母さんが心配するから、帰れよ。また今度、な」

 こんな風に、オドオドしながら優しく手をほどいて、目も合わせず、鍵を開けて中に入ってしまう。

 いつからこうなったんだろう。
 記憶を遡ると、あの夜に合致する。
 智恵子は、妹。

 5年後にそう言うなら、お兄ちゃんはどうして、あのとき、好きだなんて言って私のパジャマを脱がせたんだろう。

 あ、そうだ。先生に言い忘れたことがあった。
 先生、私何もいらないから、もっといっぱい好きって言って欲しい。
 お前だけだって、お前が大事だって、言って欲しい。
 昔、お兄ちゃんが私に言ってくれてたみたいに。
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