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§ 龍王の巫女姫 §
第7章 蕩ける果実



炎嗣という王は

掟を重視しない、自分で古いと判断した規律を、次々に変えていくことで有名であった。


そういう意味でいえば、王が掟を破って行為後の寵妃を寝室に残したとしても臣下はとくに驚いたりしない。


宦官たちは違う理由で動揺していた。



陛下は

あの若い王は──



今まで、誰のひとりとして信用したことがない男だった。



一目おかれた臣下がいたとしても
寵愛をうけた姫がいたとしても

深い付き合いをすることもなく完全に心をゆるす瞬間もありはしない。



炎嗣はそんな男だった。



であるから王は眠る時、決して寝室に人を寄せ付けないのだ。見張りの兵を置くのすら嫌い、眠りが浅いために僅かな物音でも目を覚ます。



そんな陛下が

女を寝室に残されるとは──



もはや常識となっていた王の鉄壁が崩されて

臣下の内には波紋が広がってゆくのだった。














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