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第11章 残酷な好機

身体全体に、何かがのしかかっている。

何かが…否、誰かが──。

完全に脱力したその人物は、仰向けの彼女に体重をあずけてぐったりとしていた。


この人は…


「‥‥!!? 嘘‥‥どうして」


漸く状況を理解した水鈴は、自分を抱き締めたまま動かない彼に目を見開く。



「──ｶﾊ‥ｯ」

「…どうしてあなたが…!!」


こうべを垂れた男の顔は見えないけれど

自分の代わりに馬に一蹴されたのは、憎き男、炎嗣に違いなかったのだ。