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§ 龍王の巫女姫 §
第11章 残酷な好機


“ わたしはあなたを殺さないと…でないと、死んでいった皆に顔向けできません ”


燭台を下向きにかまえ、彼の喉元に垂直に立てる。


一度大きく振りかぶって──


…しかし、燭台を下ろす時にかぎって、どうしても勢いがつかない。

肌に触れる直前で止まってしまう。



何度やろうと結果は変わらなかった。



「……フ…ぅ、ぅ…」


喉が熱くて痛い

呼吸をする度に焼けるようだ。



“ この七日間を耐え抜いた……それは、この瞬間のため!仇をとるため…!! ”


必死に言い聞かせる。



“ 処女を奪われた夜、護身用の簪( カンザシ )で彼を殺そうとしたじゃない…っ”


いまさら迷っては駄目…

迷いは機会を棒にふる。

迷いは、苦しみを増やしてしまう。


せめてひと思いにやらなければ、余計な痛みを与えることになる。


どうか神様…わたしに、力を。



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