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§ 龍王の巫女姫 §
第2章 峭椋村の巫女姫


水鈴の前に現れた形のよい鼻筋と軟らかな口許。

しかし…

彼の目を見ることはできない。


彼は包帯のようにして薄紫の布地を両目の上に巻き付けているからだ。

そこに隙間はなく、視界は完全に塞がれている。



──彼は盲目なのであろうか?



けれど彼は迷いなく水鈴に顔を向け、そして彼女が脱いだお忍び用の平服を拾い上げた。視界を布で覆っているにもかかわらず、である。


男の名は 花仙 ( カセン ) 。

不思議な力をその目に宿した彼は、巫女を守る者だった。



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