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§ 龍王の巫女姫 §
第15章 白梅の精

「そんなら陛下のところへ行かれたら宜しい」

「炎嗣様は忙しいの」

「わかっておりませんなぁ…水鈴様は」

ふぉふぉふぉ

離宮に置く陶器を拭きながら、口をすぼめて老婆が笑った。


「国を背負う皇帝の心を安らげるのは、茶でも菓子でもありません…。愛しいおなごが傍らにいること、これにつきますな」

「──…」

「陛下の寵愛をうけているお自覚が、水鈴様にはちと足りないようですねぇ」

「愛しい…だなんて、そんなことあり得ないです」

「…はて、何故ですかな?」


水鈴の事情を知らない老婆にはわからない。


“ 彼がわたしを側に置くのには別の理由がある。彼が必要としているのは《 龍の子 》としてのわたしだから… ”


生きろと言ったのも
何度もわたしを抱くのも

それはきっと愛情ではない。


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