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§ 龍王の巫女姫 §
第16章 淡く儚く 愛おしく


「愛する女性から口付けされ、それだけで終われる男がいるとお思いですか?」


「え…?」


「……っ」


花仙の顔が目の前に迫る

“ うそ ”

視界が暗くなって、彼に口付けされているのだと気が付いた。


“ どうして? ”


花仙と唇を重ねながら呆然となる──。



「……ハァ」


どうして花仙から…? もしかして

わたしが口を開けたら


「…んっ」


驚いて閉じていた唇の力が抜けた時
花仙が顔の角度を変えて舌を差し込んできた。


「……ん、ん…?」

瞼を落とす間もないほど突然の出来事で、水鈴は目を細めて彼の舌を受け入れた。

幹に預けた頭のすぐ横に、花仙の手が添えられる。

反対の手は彼女の顎の線を辿った後、くいっと上に持ち上げていた。



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