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第17章 氷の中の乙女

「敵を間違えるな。お前が復讐すべきは…─」


「──…」


わたしが、復讐すべきは


「神だ、水鈴」

「神様……?」

「そうだ。お前が巫女として仕えてきた相手だ」


水鈴は彼が言うことの意図を掴めなかった。


神とは祈る対象であり、敬う対象であり

「…どうしてそんな恐ろしいことを口にするの？」

恨んでいい筈がない。



「龍の徴( ｼﾙｼ ) という異質なモノを俺たちの身体に生まれ持たせ……この生き方を狂わせたのは、まぎれもない、神の気まぐれだろう」


「そんな…ｯ 畏れ多い」


「構うな、お前に哀しみをもたらす神へ復讐しろ。どれほど現実が残酷でも…お前を不幸せにはできないのだと証明するんだ」


「…証明、する……?」