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§ 龍王の巫女姫 §
第4章 狂気



「…盲目の相手に何をしている」


一瞬で沈黙を作りだし
それを一瞬で震わせる…

低く張りのある美声だ。



「しかし…っ、この男、普通に走って逃げるものでして…っ」

問いただされた者はたどたどしく答えた。



「きっと特殊な生地の布を使って盲目のふりを…」

「じゃなかったら化け物ですよ」


花仙の腕を縛る紐を握ったまま、ばつが悪そうに彼等は言う…。




「…ふっ、化け物か」


「……っ」


「──俺と気が合いそうだな…その男」



周りの者がしまったという顔つきをした。


" 王 " は冷淡な目を、答えたその男に向ける。



「お前、…死にたいのか」

「ご、ご無礼を…!!」

「──…」


そして目線を足許の花仙に移した。



「…、早くこいつの縄を解け…」


「……ハァ…ハァ、…ハァ…ッ」


王の命を受けて、血だらけの花仙の縄が解かれていく。


彼はさらに

水鈴を取り抑える部下に命を下した。




「…女を眠らせろ」


「──は!ただいま」


「…ん…っ!?…んんッ」



水鈴の口と鼻に、濡れた布切れがあてがわれる。



「…んっ、んんぅ…」



どこか甘ったるい…強い匂いが鼻を抜けて

彼女の意識はみるみる薄れていった。





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