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忘れられない指
第10章 選んだのは・・
いつものように金曜の夜、凌空とシークレットで顔を合わせた。

どんな顔で会えば・・
私のほうは緊張していたが、凌空は今までと変わらず響く声で挨拶をし、
隣りに座る私に程よい距離を置き
2人の間に特別な出来事があったなんてことをまったく周りに感じさせない。

それくらい、今までと同じだった。

孝明や史彦もいるからだろうか、とも思ったけど
それは大人の証し、のように見えた。
決着がつくまではひたすら黙っていよう・・
凌空の想いの深さと真面目さが、じわじわと私の中に沁みこんで、伝わってきた。


そんな時間を2度ほどやり過ごし、
私もようやく答えを出そうという気になった。
この人なら安心できる・・きっと温かく包み込んでくれる・・
会うたびに気持ちが固まっていった。

ホントのことを言えば、孝明の事をきっぱりと自分の中から打ち消そう、とまでは
気持ちの整理ができていない。
好きなような、なんとなくなような、
言葉にすると薄っぺらな感じかもしれない。
ただひとつ、わかりかけていることは・・
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