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忘れられない指
第2章 出会い
私の仕事の一通りを聞いてくれた3人に、今度は私が質問で攻めていった。

「みなさんはどんなお仕事を?じゃあまずは凌空さんから」

右隣の凌空の方に椅子を回転させ体をむけた。
だが、凌空はとりあえず会社員、としか言わなかった。
細かいことは内緒、と唇を指で押さえた。

素性を明かさないなんてアヤシイと、横目でにらんでから左に向き直り、
今度は史彦に同じ質問をする。
すると史彦も同じように内緒、という。

ますますアヤシイ!と少しとげのある声で孝明に尋ねる。
あなたはまさか内緒なんて言わないわよね?と先手を打つと、
そのまさかでーす!と声をあげて笑った。

「えー?どうして?ずるいですよ、私のことは聞きだしといて!
 あ、ほんとにアヤシイ仕事してるの?
 だったら近づかない方がいいかなぁ、どうです?マスター」

眼鏡の奥の瞳は細くなっている。

「みんないじわるだよねぇ。
 でもね、本当は誰でも知ってる有名な会社に勤めてるんだよ、3人とも。
 もしなんか悪さして新聞にのっちゃったら大変だからさ、隠してるんだよ」
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