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忘れられない指
第5章 思いもよらぬ・・
孝明に連れられてまずは駅まで行き、踏切を渡って反対側へ、
そこから5分くらい歩いた住宅街の中に凌空の住まいはあった。

3階建ての、コンクリート造りのこじんまりとした賃貸マンション。
外観のおしゃれ度合いからして、家賃は高めだろうと想像した。


2階の一番手前が凌空の部屋だという。
孝明がチャイムを鳴らすとすぐドアがあいた。

「おう!来た来た!咲ちゃんいらっしゃい!」

トレーナーにスウェットパンツの、完全くつろぎルックの凌空が顔をのぞかせた。

「こんばんは。今夜は御招きありがとうございます。わぁ!・・おしゃれな部屋!」

孝明に背中を押され先に部屋に入ると、外観からの想像通り
おしゃれなワンルームだった。
結構広い。
はしたないと思いながらも部屋の隅々まで見入っていしまった。

「なんかぁ・・こういうデザイナーズっぽい部屋だとなんにも家具とか置かなくって
 無機質な感じにするのかと思ったけど、そこそこ荷物があってなんかホッとするね」

自分と同じ、カラーボックスやハンガーラックが端に押しやるようにして
置いてあるのを見て、なんだかわからないが安心した。


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