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忘れられない指
第8章 確かめたい、互いの心・・
その日はシークレットにはいかなかった。

凌空は次の日朝早くから予定があると言い、駅で別れた。


シークレットの前にさしかかった時、孝明はいるだろうか、と
立ち止ってステンドグラスを見つめた。

私は・・孝明のことをどう思っているのだろう。
あの夜から・・彼のことを想わない夜はない。
でもそれがイコール好き、なのかどうかはわからない。

一度肌を合わせてしまったら、もう元の関係には戻れない。
どんな感情を抱いているかの前に、体をつなげた事実、というのは消えない。
それ自体が特別な事なのだから。


ドアの取っ手に手を伸ばしては見たものの、開けることはしなかった。
やっぱり今夜は帰ろう・・
再び歩き出す。
いったん止めていた足は急に重だるさを増した。

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