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MY GIRL
第10章 熱
「もう大丈夫なの?」

涼太先輩があたしの額に触れる。

ちょっとだけ…ほんのちょっとだけ体が震えたけど、大丈夫。

「…あ!貼ってるの忘れてた!もう温くなってるよ〜」

笑いながら熱さまシートを剥がし、丸めてポケットに入れる。

「ほんとバカだなお前」

「あー!蒼汰にだけは言われたくないしっ」

「うるせぇ、バーカ」

「バカって言った方がバカなんですぅ〜」

「ふん…バーカバーカ」

…うん、これだよ。

こういうやり取りを、これからもずっと、楽しくしていきたい。

「…ありがとう。ほんとありがとうな、美咲」

涼太先輩の言葉に、笑顔を向ける。

「俺からも。ありがとう」

蒼汰にも、笑顔を向けた。

涼太先輩には左手を、蒼汰には右手を差し出す。

「…ん?何?抱き締めてもいいの?」

「俺も思った。いいの?抱き締めて」

「…へっ!?違うよ!握手だよっ」

「…何だ握手か」

2人ハモって言った涼太先輩と蒼汰は、あたしの手を両手で握り締めてくれた。

「…あー抱き締めてぇ」

「俺も…」

「ダメですっ!大樹の許可取ってください」

「ははっ、一生貰えねぇな」

「だな、殺されるわ」

再びあたし達は笑い合い、手を離した。

「じゃあ、あたしはこれで」

「うん。これからもよろしくな」

「こちらこそですっ」

笑顔を浮かべてる2人に会釈し、階段を降りる。

涙が出そうな位、嬉しかった。

よかった。

涼太先輩と大樹の仲が壊れなくて、よかった。

また平和に大樹と付き合っていけるのかなっ?

そう思いながら降りてると、下の方で何かが落ちる音がした。

気になって急いで降りていくと、踊り場に…大樹が倒れてた。

「…っ!?大樹っ!?」

慌てて降りて、大樹の元に駆け寄る。

真っ赤な顔で、荒い息を吐いてる大樹。

額からは汗が流れ、凄く辛そうだ。

「熱っ…!?」

額に手を触れると…思わず手を離す程熱かった。

もしかして…あたしの風邪移っちゃったの!?

「ほ、保健室っ!大樹、ちょっと待っててねっ」

まだ近くにいるよね!?涼太先輩と蒼汰!

壁に大樹を寄りかからせ、急いで階段を駆け上がる。

…いた!


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