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第11章 それぞれの過去

倒れた先輩の色んな所、思いきり蹴ってて…見てられなくて、途中から耳塞いで目を逸らしてた。

先輩、あたしの前で血だらけになってて…

…その光景がね？今でも時々夢に出てくるの…

…っ、なのに尚也、何事もなかったようにあたし連れて離れようとするから…ケータイ借りて救急車呼んだの。

先輩、足と腕骨折しちゃって、一生治らなくなっちゃったの。

優勝候補だって言われてたし、有名な高校にスポーツ推薦で合格してたのに、ダメになって…

全国大会行ける程強かったんだよ？

なのに、歩きすら出来なくなって…

尚也、全く反省しなかったの。

裕福な家庭に生まれた人で、お金で解決したって言われて、

｢これで満足か？｣

って笑って言われて…同じ人間だと思えなかった。

…この事件は、目撃者が全然いなくて、学校側で揉み消されちゃって。

先輩は階段から落ちて大怪我したって事にされて…

…何も、言えなかった。

それで先輩、そのまま学校辞めちゃったの。

あたし、毎日先輩の家謝りに行ってたんだけど、先輩のお母様に凄く嫌われて、水かけられちゃってて。

それでもめげずに謝りに行ってたんだけど、先輩1度も出てきてくれなくて…その内、どこかに引っ越して行っちゃったんだ。

そこから先輩のその後を、誰も知らないの。

それで…その事件があった日の夜、尚也の家に連れてかれて何度も殴られた。

人に見えない所、殆ど。

｢他の男に靡いたお前が悪い｣

｢この淫乱女｣

って…

また部屋に閉じ込められて、辛くて泣いてたら、ピンク色の液体入った小瓶持って戻ってきて無理矢理飲まされて、…そこから、その日の記憶がないの。

次の日起きたら、体中凄く痛くて。

服はかろうじて着てたんだけど、起きた途端尚也に無理矢理お風呂場連れてかれて、体中洗われた。

傷口に水滲みて、凄く痛かった…

今思えばね、あのピンク色の液体は媚薬か睡眠薬で、あたしは尚也に犯されて…そのアトを消す為に体洗われたのかなって。

…あたし尚也に、エッチしたら何が何でも別れる、なんて言っちゃってたから。

多分、中に出されてたんだけど…妊娠しなくて、ほんとによかった｣

｢…っ｣

矢野は、元彼は美咲とヤる時、毎回媚薬飲ませてたって言ってた。