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MY GIRL
第16章 東京
「気が済むまで…大樹さんを忘れるまで抱いてやる」

俺の気は絶対に済まないけどね。

気が済むまで美咲を抱けるんなら死ぬまで抱くわ。

「…っ、やだ…そんな事言わないでよ…」

ポロポロ涙を零して泣く美咲。

…言っとくけど、大樹さんが浮気するなんて微塵も思ってない。

もし浮気してたら軽蔑する。

んで美咲奪ってやる…一生返さない。

こんなイイ女と付き合ってるんだし、今までたくさんの事を乗り越えてきたんだ、この2人は。

大樹さんだって美咲の為に頑張ってんだから。

ラストスパートじゃん、遠距離。

美咲が大学入学したら籍入れるんじゃなかったっけ?

遠距離乗り越えたらずっと一緒にいられるんだぜ?

今更他の女になんか靡けねぇだろ。

「…ごめん。泣くなって。冗談だから…」

ぐすぐす泣く美咲の体を抱き寄せ、頭を撫でる。

「大樹さんが浮気する訳ねぇだろ?あんな美咲の事しか考えてねぇ人…」

大樹さんから聞いた、俺だけに打ち明けるといって話してくれた事を思い出す。







最難関大学に通いながら、その頭と要領のよさから大企業に就職前提のアルバイトをしている大樹さん。

もう殆ど働いてる同然の仕事を任せられ、社員と同じ位の給料を貰い、毎日大学との両立でかなり忙しいらしい。

そんな多忙極まりない生活を送っている理由は。

「1年間、俺を一緒に住ませてくれた美咲のご両親に恩返ししたいんだ。美咲と出会わせてくれた美雪さんを始め、美咲の家族には本当にお世話になったから。美咲に出会ってなかったら…今の俺はないんだよ。生きてもいないかもしれない。ぶっちゃけ、金は余る程持ってる…けど、今あるのは殆ど人の金だから。自分で稼いだ金で生活費返して美咲に相応しい人間になって…美咲と住む、美咲の家族も一緒に住める…家、買う」

その決意の固い、力強い瞳に驚いた。

…ほんと、美咲の事しか考えてねぇよな。

「そこでだけど…蒼汰。俺が一緒にいてやれない間、美咲の事頼むな。あいつは1人で生きていける程になったけど、周りが放っておかないだろうから」

「…はい」

「後、他の男に目移りしそうだったらすぐに教えろ。飛んで帰ってくるから」

そう言われて、この人もつくづくアホだよなぁ、と思った。


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