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第29章 つなぐ想い

「でもね……詳しい成り行きまでは分からないけど、一海の……」

周りを気にして、石塚さんは私の耳元で囁くように続けた。

「変態趣味を……凛が受け入れられなくて。お互い好きなのにすれ違って別れたんだ」

「変態趣味……」

その理由に、私の中で何かが引っかかった。何だろう……
それと、今の先生と凛さんが付き合っていた訳では無かった。
でも、もういい……もういいよ、石塚さん……

「なんで私なんかにそんな話をするんですか……？　先生にとって私は……」

「結衣ちゃん、そこが全然違うんだよ。〝私なんか〟なんてことは無い。それに、凛は……」

苦しそうな顔の石塚さん……それに、何？

「凛は、もう死んだんだから」