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秘蜜に濡れて
第11章 キャンディタフト
心地よい波間を漂う。

何処からか香ってくるのは撥春のバスルームに常備されているバスジェルと同じ匂い。

ぼんやりしていた頭の霧が晴れていくと、今自分が何処にいるのかもハッキリしてきた。

「あ、起きた?」

背後から聞こえたのは撥春の声。

ちゃぷんと音を立てているのは…バスタブ。

温めのお湯の中にいつからいたのか。

バスタブの淵には中身の減ったペットボトルが置いてある。

渇きを感じないところをみると、撥春は水分補給もしてくれていたようだった。

もちろんあのランジェリーは脱がされ、裸で浸かっている。

「さすがにあのままじゃ…ね」

気を失う程乱れた情事が蘇る。

「ごめんね」

肩に口づけると、燻っていた悦楽の炎に火が立ちそうだった。

「…っすぐった、い…」

「ん、ごめん、さ、出ようか」

出たところで、替えの下着もないあいり。

撥春のTシャツとゆるゆるのハーフパンツを身に纏う。

「Tシャツはまだしも、ズボン、履いてる方が面倒くさそう、風邪引く時期じゃないから、上だけ着てたら?」

優しさに下心が混じったセリフ。
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