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秘蜜に濡れて
第6章 絡まる糸
真がくれたワンピースに袖を通して、髪を結い上げる。

「送ってく」

指先でくるくると車の鍵を回す撥春。

「そんな…電車で行けますから!」

「1分1秒でも長く一緒にいたいのに」

じっと見つめられると、あいりは何も言えなくなってしまう。

一緒に居たいのはあいりも同じだ。

でも、会社が、仕事があって、生活がある。

指を絡ませてエレベーターに乗ると、背中からあいりを抱きしめる。

「シャンプーの匂い、お揃いだ…」

当たり前のことだけれど、そんな些細な事にも、振り返ったあいりと目を合わせて微笑む。

車高の高いRV車は撥春のお気に入りだ。

エンジンを掛けてギアを入れると、思ったより静かに走りだした。

30分も走ると見慣れた景色が現れた。


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