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秘蜜に濡れて
第7章 夢から醒めたら
髪を拭いながらリビングに戻ると、撥春はヘッドホンをして音楽を聴いていた。

あいりが戻って来たことに気づいていない。

ソファーの隣に座ると、沈んだ感覚で撥春がヘッドホンを外した。

「髪乾かしてあげる」

身体を横に向けると、早速ドライヤーをあてた。

さわさわと指が首筋を何度も掠める。

厭らしいことをしているわけではないのに、何故かドキドキする。

「電話、何話したの?」

思わぬ問いかけに肩がびくっと上がる。

「…特に、は…」

「里美ちゃん、めちゃくちゃ酔ってたね、怜二が愚痴ってた」

「そ、ですね…」

「俺に言って?俺のことでしょ?」

そうだけれど、本人に言えないから里美を頼ったのだ。

言えるなら苦労はない。

「何?何が聞きたい?」

あいりの肩に顎をおいて、耳に唇が触れるか触れないかの距離がもどかしくなる。

ドライヤーをテーブルに置いて、髪を反対の肩に流す。

「夢から醒ましてあげようか?」

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