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秘蜜に濡れて
第1章 今宵、星が零れたら。
「撥春!あいり!」

撥春の背後から大股で近づく圭吾。

何処と無く険しい表情の圭吾は二人に近づくと、足元にあったあいりの荷物を拾う。

「中で将人たちが探してたぞ?早く行った方がいいんじゃないのか?」

「サンキュー、じゃあまた」

「はい、失礼します」

エレベーターに乗り込み、ドアが閉まるその時撥春が肩越しに振り向き、微笑むとあいりの頬は朱に染まった。

大通りに出るまで圭吾は無言だった。

「圭吾?どうしたの?なんかあったの?」

「来週のCM同行するなら仕事前倒ししておけよ」

「なんで急に仕事モードに戻るの?」

尋ねても明確な答えは返って来ず、あいりの家に先に着くと二人で降りる。

圭吾の家も次の角を曲がった処だ。

おやすみを交わして圭吾を見送ると空を見上げた。

キラキラ輝く星が今日の出会いを一層飾り付けてくれる様で、あいりは撥春が直してくれたイヤリングにそっと触れた。



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