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幽霊は勃起する
第2章 幽霊は勃起する
「ぼ、ぼく、ど、童貞で自殺したから、い、一度でいいから、せ、せっ」
「お、落ち着いて!最後までちゃんと聞くから、お姉さん変態だけどいちおうマトモな社会人という一面もあるから、悩み相談くらいなら聞けるよ!ってアンタもう死んでるからどうにもならないけど!」
「!!!ううっ、ううー!そうなんですよおっ」


 ユウは激しく泣きながら、突如私の腹のあたりに抱きついてきた。
 幽霊は温度がないけれど、人間と変わらないような質感がした。


「ぼく、童貞のまま自殺したんですけど、いちどでいいからセックスしてみたかったんです、自殺しても気付いたらずっとこの部屋にいたまんまで、どこにも行けないし、いろんなひとが部屋に勝手に上がってきて、荷物とか片付けちゃって・・・死ぬ前となにも変わらないのに死んでて、ヒマだからだんだん“一度でいいからセックスしてみたかった”って気持ちばっかり強くなって・・・。そしたら寝る子様がきて、なんかいきなりオナニーはじめて怖くなって、おかあさんって言ったらきゅうに寝る子様がぼくに気付いて、そんで、そんで・・・・」

 鼻水が激しく垂れて服を汚しているが、どうせこれも具現化はしていないのだから洗濯のことを気にする必要も皆無といったところだろう。
 そういうワケで私はユウを慰めるということだけを念頭に置いてユウの坊主頭を撫でた。

「ゆっくりでいいから、落ち着いて」

 冷静に考えたら今からさぁ陵辱するぞ!というタイミングで幽霊から人生相談を受けるハメになるなんて、私はとことんツイていない人生である。


「えぐえぐ、あ、ありがとう。寝る子様ってやさしいんだね・・・どうしてぼく、死ぬ前に寝る子様に出会えなかったんだろう。寝る子様に調教されてから死ねばよかった。ううっ、うううっ・・・」


 ユウはサラリととんでもない発言をしたのち、またもや激しく泣き出してしまった。


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