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ジェミニの檻
第10章 流星
「もしもし、由岐くん?お疲れさま!」

『そっちはどう?』

「涼しいし、快適だよ!バーベキューも美味しかったし、もう少ししたら星を見に行く予定」

『いいなぁ、こっちは蒸し風呂状態だよ、外に出ても湿気でベトベトだし』

ふふっと笑う六花。

『六花、大学生に言い寄られてないよな?』

「ないない!志貴くんがお姉さんたちに掴まってたよ」

『邪険に扱ってそう…』

「そうそう!イケメンって言われてるのに、煩いって一蹴してた」

電話越しに笑う由岐の声。

気まずく顔を合わせていた頃より、ずっと由岐を近くに感じていた。

「六花ー!星、見に行くよー!」

「はーい!じゃあ、また、ね?」

『うん、おやすみ』

六花はスマホを握ってえれな達の元へ戻っていった。

ランタンを手に山の斜面を登っていく。

六花は慣れない山道とあって、どんどん遅れを取ってしまう。

小石に足が取られてよろけるとすっと目の前に手が差し伸べられる。

「さっさと来いよ」

志貴にぐいっと手首を引っ張られ、握ったまま歩き出す。

「ごめん…」

「わざと遅れを取ったのか?」

何の事なのか六花は首を傾げた。
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