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ジェミニの檻
第17章 ジェミニの檻
カフェオレとマーマレードが塗ってあるトースト、サラダ。

六花は手を合わせてから、トーストにかぶりついた。

由岐はコーヒーを手に志貴の隣に座る。

二人を交互に見つめながら、六花は朝食を平らげた。

「美味しかった?」

喋るのは由岐ばかり。

「うん、ご馳走さま…あ、の…」

「分かってる、別れ話でしょ?」

由岐の真っ直ぐ見つめてくる瞳に、六花の胸がちくりと痛む。

「志貴にも言ったけど、別れないから」

「え…?」

志貴が何も言わないのはイラついていたからだった。

「わざわざ別れて志貴と付き合わなくてもいいと思う、どうせ志貴だけじゃ六花は満たされないからね」

「由岐…どういう意味…?」

「俺を嫌いになったわけじゃない、淋しさを志貴が埋めたんじゃない?」

嫌いになったわけじゃないというのは合っていた。

「志貴と付き合ったら、淋しくならないの?」

志貴を見るといつの間にかこちらを見つめていた。

「由岐のいう事も一理あるだろ?」

息を呑む六花に由岐が立ち上がって、後ろから抱き締めた。

そんな事にまだドキドキする六花がいた。

「選ばなくていいよ、二人で可愛がってあげる」

それは悪魔の囁きだった。
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