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ジェミニの檻
第3章 溺れる方法
激しく肉がぶつかる音だけが響く。

六花はシーツを握りしめ、上半身をベッドに預け尻だけを高く上げていた。

淫らに流動する壁が齎す快感に二人して身を委ねた。



放心している六花の胸に志貴が唇を寄せた。

チリッとした痛みの後、紅い花が咲く。

「週末までに消えるといいな」

息を呑む六花。

我に返るとなんてことをしたのだと体を掻き抱いた。

志貴は服を整えるとブラウスを拾い、床に膝を突いて、一つずつボタンを締めてやった。

見下ろす志貴の目元には睫毛が影を造っていた。

「帰るぞ」

時計は7時を回っていた。

「っいた…⁈」

床に足を付けると股座から腰にかけて鈍い痛みが走る。

何かが挟まったようなそれに上手く歩けない。

志貴はニヤつく口元を手で隠した。

そして無言で六花のカバンを奪い二つを肩に掛けると、もう一方の手を差し出した。

顔を上げると志貴の横顔すら伺えない。

大きく温かい手を握り返した。
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