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ジェミニの檻
第6章 不安材料
浴衣を着つけて貰い5時に家を出た六花。

人が増えていく駅前の噴水脇に腰を下ろした。

あと一時間。

六花は改札を見つめていた。


あと30分という所で電話が鳴った。

由岐からだ。

「もしもし?」

『六花?ごめん、帰りの高速で事故渋滞らしくて今サービスエリアなんだ、あと二時間はかかるって言ってるから…もう家出た?』

「…まだ…」

『そっか、良かった』

電話の向こうで由岐を呼ぶ梢の声がした。

マネージャーだから、いてもなんら可笑しくはない。

けれど、もやもやとした不安が六花の胸に広がった。

『本当、ごめんな』

切れた電話を手に六花は俯いた。

「ねーねー、さっきからここにいるよね?カレシ来ないの?俺らと行かねー?」

二人組の男が六花の腕を掴む。

「っい、え!いいです…っ!」

「いーじゃん、帰っちゃうなんて勿体無いし」

必死に断る態度を示すも二人組はお構いなしに、立ち上がらせる。

「それ、俺のだけど?」

二人組みが振り返る。

「志貴!」

六花は理解するよりも先に腕を振りほどいて志貴の元へ駆け寄った。
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