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第2章 開演

早速準備体操とストレッチが始まる。
花もユキも、見様見真似で必死についていく。

「ワンツー、スリーフォー、ファイブシックス、セブンエーイト」

ふだん運動しない花にとっては準備体操だけで、十分疲れてきた。
でも、仕事終わりに感じる疲れとは違って、なんだか心地いい。
（身体動かすのって気持ちいいな）
隣を見ると、先生のカウントに合わせてユキも懸命に身体を伸ばしたりしている。
一通りストレッチまで終わると、

「はぁ〜！疲れたっ！」

ユキは床に身体を投げ出す。

「この準備体操とストレッチはレッスンの前に毎回やるからね〜！やっていくうちに身体も柔らかくなっていくし、筋力もついていくから頑張って！」

ラジカセの準備をしながらリサ先生が言う。

「これだけでもかなりの運動量だね」

「本当、明日は筋肉痛だな〜！」

次は、ステップのレッスンだった。
壁一面の鏡の前に立ち、先生が見本を見せる。

「ワンツースリーフォー、ファイッシックッセブンエイト！」

「はい、みんなもやってみてー！」

リサ先生は手を叩きながらカウントする。

「わぁぁ、身体が思うように動かない〜」

「花、動きが面白い」

ユキは笑いながらステップを踏んでいる。

「もー！笑わないでよ〜！」

「最初は私もそうだったよ〜」

「私も！ 頑張って練習するうちに、だんだんできるようになるよ」

他の生徒さんがフォローしてくれる。

「そうなんですね！ ありがとうございます！頑張ります！」

ふと、レッスン室の前の廊下に人が立っているのが見えた。
さっきの爽やか会社員の人が腕を組み、レッスンを見ているようだった。ふと目が合ってしまい、花は慌てて目線を逸らす。

和やかな雰囲気で、いくつかステップの練習をして、一旦休憩時間になる。

「あー！疲れた！」

ユキは汗を拭きながらペットボトルのミネラルウォーターをゴクゴクと飲んでいる。

「でも、楽しいね！」

花は緩くなってしまったポニーテールを結び直している。

「2人とも、社会人かな？まだ学生？」

他の生徒さんが話しかけてきてくれる。

「いえ、社会人です。この子なんて、人妻なんですよ〜！」

ユキは花の肩を抱く格好をしておちゃらけている。

「えー！すごく若く見えるけど、もう結婚してるのね！」

「いえ、そんな若いわけじゃ…」